Ｆ１・台頭するハミルトン世代 早くも猛追受けるアロンソら

【明解要解】Ｆ１・台頭するハミルトン世代　早くも猛追受けるアロンソら

長く君臨した“皇帝”ミヒャエル・シューマッハー（ドイツ）が昨季限りで引退し、「ポスト・シューマッハー時代」の幕開けとなった今季のＦ１世界選手権シリーズ。次世代の予想以上の台頭で、新たな世代間抗争が勃発（ぼっぱつ）した。開幕まで３カ月を切った２００８年シーズンで、この流れはさらに加速しそうだ。


　今季のタイトル争いの中心になると予想されたのは、シューマッハーを抑えて０５、０６年の王座を獲得したフェルナンド・アロンソ（スペイン＝マクラーレン・メルセデス）、シューマッハーに代わってフェラーリに移籍したキミ・ライコネン（フィンランド）、その同僚のフェリペ・マッサ（ブラジル）だった。

　ところが、ふたを開けてみると、３人の前で王座争いをリードする新人がいた。ルイス・ハミルトン（英国＝マクラーレン・メルセデス）だ。

　２２歳のハミルトンは、２７歳のライコネン、２５歳のアロンソ、マッサ（年齢は今季開幕時）より一世代下。シューマッハーの世代を追い上げた世代が、早くも下からの突き上げを受けた形だった。

　黒人初のＦ１ドライバー、ハミルトンは、デビュー戦からの連続表彰台記録を９と大幅に塗り替えるなど“レース界のタイガー・ウッズ”の異名どおりの活躍を見せた。第４戦・スペインで、史上最年少でタイトル争いの単独首位に立ち、第６戦・カナダで初優勝。続く米国では連勝した。


　自信を深めたハミルトンは、同僚のアロンソへのライバル心をあらわにする。アロンソも「英国のチームであるマクラーレンは、英国人のハミルトンを優遇している」とチーム不信をぶちまける。ヒートアップしたチーム内の軋轢（あつれき）は、予期せぬ方向に燃え広がった。


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　マクラーレンの元デザイナーがフェラーリの元技術者から不正に技術情報を受け取っていた問題について、国際自動車連盟（ＦＩＡ）は７月、いったん「証拠不十分」と処分を見送った。しかし、チーム内の軋轢からアロンソが「決定的証拠」を握っていることが判明。メカニックと交わしたＥメールだったが、これを基に９月に再度開かれた公聴会で、マクラーレンに対する史上最多の罰金１億ドル（約１１３億円）などの処分が決まった。

　結局、アロンソは決定的に決裂したマクラーレンから離れ、来季は古巣・ルノーへ復帰。だが安心してはいられない。０８年は優秀な“ハミルトン世代”が新たな一大勢力となりそうなのだ。


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　Ｆ１で２年目の今季、７度の入賞を果たしたニコ・ロズベルク（ドイツ＝ウィリアムズ・トヨタ）に加え、アロンソのチームメートとしてネルシーニョ・ピケ（ブラジル）がデビューする。ニコの同僚として中嶋一貴の参戦も決まった。３人ともハミルトンと同じ２２歳。ロズベルクとピケの父は、ともに元世界王者で、中嶋は日本人初のレギュラーＦ１ドライバー、悟氏の長男だ。



　いずれも名前がもたらす大きなプレッシャーに打ち勝ち、才能を評価されてＦ１に上がってきた。中でもピケはアロンソと同じ車で走るだけに、元世界王者のエマーソン・フィッティパルディ氏は予言する。「アロンソは来年、マクラーレンで直面したのと同じか、それ以上の困難を抱えることになるだろう」


MSN産経ニュース - 2007年12月25日



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